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洞穴

  • 2011年05月27日

あのとき、たしかに崩れていく音がきこえた。
それはちいさく、はかなく。

耳をすませていなければ聞こえないほどだったから
あたしは気づかないふりをした。

あれから外は雨がふりつづいていたけど
一枚だけ持っていたお気に入りの毛布があったから
あたしは平気だとおもった。

そこはせまくて、窮屈なところだったけど
いごこちがよかったので
ひとりでもさみしくないとおもっていた。

ずっと ずっと いままで
ずっと ずっと これからも

音は次第におおきくなってきて
雨は次第に豪雨に変わり
足元まで流れこんできた。

震える体でお気に入りの毛布にくるまったけど
おもったほどそれはあたたかくなくて。

ひとりっきりの洞穴で。

あたしははじめて泣いたんだ。

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