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ひとりの夜に

あなたの家族でいられるあのひとがうらやましい。
あなたと毎日一緒にいられるあのひとがうらやましい。
あなたと一生、生きていけるあのひとがうらやましい。
あなたの子供を産んで、あなたと育てていけるあのひとがうらやましい。

わたし、すぐにそんなことを考えてしまう。
同じ女なのにどうして?
わたしだってあなたを愛しているのにどうして?
どうしてわたしだけが、ひとりでひざを抱えているの?
ひとりで過ごす夜。
あたまに浮かぶのはそんなことばかり。

神様、どうか時を戻せたら。
わたしを先に会わせてください。
奥さんよりも、誰よりも誰よりも先にあなたを見つけさせて。

いつかあなたと。
そんな願いが、いつからかそんなものに変わってしまったね。
神様なんていないから、わたしの願いはかなうはずもない。
それでも願わずにはいられない。
だって、今のわたしにできるのはそれっぽっちなんだもん。
だから、全部神様のせいにして。

あったかいコーヒーを飲んでも、毛布にくるまっても、寒いよ。
あのひとはいいなぁ・・
今日も明日もあさっても、ずっとずっとあなたといられるんだから。
そんなことを考えていたら、涙がこぼれた。

あのひとといるあなたを、こんなにもこんなにも好きなわたし。
ちゃんと恋をしているのに。
あなたがふたりいたらなぁ・・
おでこを膝につけて泣いた。
泣いて泣いて、またそんなバカなことを考えるの。

いつまで一緒にいられるのかなぁ・・
ぼんやりと、そんなことを思って、あのひとがまたうらやましくなった。
顔をあげて目をあけると、涙でにじんだ瞳に、ひとりきりの凍るような空気がしみて、あなたのいる家とは全然違うんだろうなぁ・・って考えたら少しおかしくなった。
むなしくて、切なくて、悲しくて、笑いながら泣いたんだ。

今日は、そんな夜。
明日は、あなたに会えたらいいのに。

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