愛しいあなたが、
愛しいと思うあなたの子供。
その子供のために、
私はぬいぐるみを買った。
幻想では、母になりたいと思った。
現実では、逢うこともないであろう、
その子供のために。
あの日、苦笑いをして
ありがとう、と受け取ったあなたは、
先日、嬉しそうに
ありがとう、とまた言って
こう報告してくれた。
「どこに行くにも、ダッコしてるよ。」
私が選んだものを
子供が気に入ってくれた事実と、
子供の側には、
いつもあなたがいるという現実が、
交錯して絡み合って、
私は、嬉しいとも哀しいともつかない表情で
「そう。」としか言えなかった。
あなたが愛しいと思う子供は
あなたを愛しく思う私が選んだ
ぬいぐるみを愛しみ、
あなたは私をも愛しく思う。
なのに、送り主は私
と、言えないもどかしさが、
伝えてもらえない切なさが、
私が入り込む余地の無さに
遠まわしに気付かせてくれるんだ。
ねぇ、ぬいぐるみ、
どうか私の代わりに…
- From:crosstail
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- Date:2007/02/02 0:35:00
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