年末、貴方にお願いした。
「毎年恒例の、家族写真付き年賀状を送って」…と。
貴方は、
「嫌な気持ちしない?」
「何がそんなに見たいの?嫁?」
なんて言葉を私にかけて、私は、
「奥様も見たいけど、子どもも見たい」って言った。
だけど、一つだけ言えなかったことがある。
『家族と一緒にいる時の、貴方が見たい』ということを。
1月4日。
貴方からの年賀状が届いた。
貴方の字だから、すぐに分かった。
貴方自筆の私の宛名。
じっと見つめてから、分厚い葉書を裏返した。
年賀状を見るのに、こんなに緊張したことはなかった。
自分で言い出したことながら、
貴方と奥様と子どもの3ショットには、
どうしようもない虚無感に襲われてしまった。
唯一救いだったことは、
貴方の顔がそんなにも笑顔じゃなかったこと。
写真嫌いだってことは知ってたから。
奥様のことは、年賀状に穴が開くほど見つめた。
貴方からの年賀状が届いた知人たちは、
「奥さん、普通だったね…」
などと、ひそひそ言い合ってたけど、
さすがに私はその輪に入れなかった。
皆が振り返るような美人じゃなくても、
貴方の隣で毎日過ごしていけるってこと。
貴方の子どもを育てていけるってこと。
貴方の無防備な姿を見ることができるってこと。
それらのことだけで、
もう普通じゃない。
私は、
どんなに願っても奥様と入れ替わることはできないのだと、
ただ思い知らされただけだった。
年賀状を貰ったこと、
そのことは後悔していないけど、
今でも奥様の顔が頭から放れません。
年賀状の当選番号を見たいけれど、
未だに見れないでいます。
- From:遥
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- Date:2007/01/20 12:58:00
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