底辺にいたんだ、あの頃の私は。
立ち上がろうにも、背中の荷物が重すぎて、
前を向いてみても、針の穴ほどの光は、遥か・・・遥か遠くだった。
姿のないあなたは、そんな私にずっとずっと遠くから、
声だけをかけ続けてくれた。
「笑わなあかんで・・・」
声を頼りに一歩を踏み出した。
どんな重荷が背にあろうと、
膝を伸ばせば立ち上がれることを知った。
初めてあなたの姿を見た時、
二人の間には分厚いガラスの壁があった。
傍にいることを感じていても、
突き破れば己が傷つく堅い壁・・・
オマエハ シアワセニナンカ ナッチャイケナインダ
頭の隅で誰かが言った。
「笑わなあかんで!」
壁の向こうのあなたが叫んでいた。
ガラスの壁が、あなたを思う熱で溶け出した時から、
私はずっと笑ってる。
あなたを見るために、ずっと顔を上げている。
私はずっと笑ってる。
私の背に、肩に食い込む過去があることなど、
誰も気づけないほどに・・・
- From:しょお
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- Date:2006/11/07 21:09:00
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