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二人の間の壁

底辺にいたんだ、あの頃の私は。

立ち上がろうにも、背中の荷物が重すぎて、
前を向いてみても、針の穴ほどの光は、遥か・・・遥か遠くだった。

姿のないあなたは、そんな私にずっとずっと遠くから、
声だけをかけ続けてくれた。

「笑わなあかんで・・・」

声を頼りに一歩を踏み出した。
どんな重荷が背にあろうと、
膝を伸ばせば立ち上がれることを知った。

初めてあなたの姿を見た時、
二人の間には分厚いガラスの壁があった。

傍にいることを感じていても、
突き破れば己が傷つく堅い壁・・・

オマエハ シアワセニナンカ ナッチャイケナインダ
頭の隅で誰かが言った。

「笑わなあかんで!」
壁の向こうのあなたが叫んでいた。

ガラスの壁が、あなたを思う熱で溶け出した時から、
私はずっと笑ってる。
あなたを見るために、ずっと顔を上げている。

私はずっと笑ってる。

私の背に、肩に食い込む過去があることなど、
誰も気づけないほどに・・・

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