ずっとずっと不安だった。
いつか、もう逢えないって言われてしまうのでは、と。
いつか、私よりあの人を選ぶのでは、と。
そんな不安の中、彼が忘れていった携帯電話。
公衆電話から「携帯忘れちゃったよー」と明るい声。
「電源切って、明日くれればいいからさ」って。
心から信頼されている、と思った瞬間だった。
それから、ちゃんと電源切って、充電までした私。
でもね、ずーーーっと気になってた思いが抑えきれなくて、
彼への罪悪感いっぱいになりながらも、見てしまった。
あの人とのメールは、淡白だった。
彼が言うように、ほんとに事務的な連絡と、そっけない文体のメールのやりとりだった。
でもその中には、
「まだうそついてるよね?」
「まだ電話したり逢ったりしてるんだよね?」
ってあった。
その返事は、
「身に覚えがない」
「電話はあったけど、正直迷惑だって思った、ごめんなさい」
「家族が一番大事」
「お前が大事」
ただただ、メールを見たことに後悔した。
嘘だとわかってても、嘘だと知ってても、すごくすごく苦しかった。
次の日。
だまっていればなんにもなかったと思うけれど、できなかった。
「ごめんなさい。携帯…見ちゃった」
そう言った瞬間、彼が哀しそうな顔をした。
怒られるかな。嫌われるかな。呆れられるかな。
なんて思ってたら、優しい声で、こう言われた。
「なにがあったの?何かあったの?」
涙がぼろぼろこぼれて、一気に、
抑えてた不安と後悔と裏切ってしまったような罪悪感を吐き出した。
「不安にさせてた?ごめんね。でも、俺、家では嘘ばっかりだけど、お前に嘘ついてることはないよ」
涙が止まらなかった。
彼は、メールを見られたということよりも、家でどういう嘘をついているのか、を私に知ってほしくなかったと言った。
知れば、嘘だとわかってても、私が傷つくからと。
なんで私は裏切るようなことをしたんだろうと思った。
すごく嬉しかった。
すごく愛されてると、心から思えた。
このことがあったから、私は彼の本当の気持ちを、知ることができた。
悪いことしたと思う。
でも、私の不安は少なくなった。
そして、彼を愛せて、本当に良かったと思った。
- From:おさあゆ
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- Date:2007/07/09 1:37:00
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