4月28日。
丸2ヶ月ぶりに元カノと会った。
もう二度と会えないと思っていたけど、僕の「話をしたい」に答えてくれた。
彼女が「ついデート気分で予約しちゃった。」と言った、夜景が見える高層レストラン。
今何してるのとか、差し障りのない思い出話に、二人で「懐かしいね」を連発する。
頬寄せ合ってした食事の時間もすぐに過ぎ、
「もう恋人同士じゃないんだから、今日は家に帰らなくちゃいけないんだよ」と彼女。
それに、長い間をおいて、「泊まるよ」と答えた。
「じゃあ、まちゃんは段ボールで寝るんだよ、もう一緒には寝れないから。」
「ははは、そうだね。探さなきゃね、段ボール。それとも朝までハシゴする?」
「いいよぉ」
駅までの道のり、そんな会話をしながら、手を繋ぎ歩いた。
終電近くの山手線の中では、二人無言で体を寄せ合っていた。
お互いにまだ好きなのは分かっている。
心で求め合っても、同じ繰り返しは嫌だって言う気持ちは、痛い様に分かるんだよ。
彼女の街に着き「ちょっと疲れたね」と言う彼女に、
「じゃあ、おっさんはここら辺のホテルにでも泊まるよ、
これから段ボール探すのも大変だしね。どこか知ってる?」
「うん、チャリで送っていくね」
「おりゃ2ケツだー」と荷台に飛びのった。
「疲れたら寝ていっていいよ」という彼女に、後ろからしがみついていた。
下り坂、結構スピード出てるよ、寝れる訳無いよね。
「ここだよ。」
トラックが沢山通る国道沿いの寂れたモーテル。彼女の地元、深夜の住宅街。
「帰るね、もう一人でも大丈夫だよね」
駐車場にぽつんと自転車を止めた彼女を、思わず抱きしめた。
力なく拒む彼女、キスをする。
「一緒にいたい」
「まちゃん次第なんだよ、これからの事は。」
懐かしい匂い、懐かしい寝顔、やわらかな胸に子供のように顔を埋めて眠った。
いや、本当は思いがあふれて眠れないんだよ。
続けたい、人生の最後には一緒にいたい。
「たとえ他の人でも、「結婚」がしたいの。私には時間はあまり無いんだから。」
彼女の言葉が僕に選択を迫る。
どちらを取っても、もれなく別れが付いてくるんだけどね。
子供を捨てる?彼女を捨てる?
すでに1度、決心したんじゃなかったっけ。
家にいる時いつも飛びついて来る子供の匂いが、
僕のあやふやな決心をこなごなにしたんだ。
駅前の茶店で朝ラテを飲みながら、状況に何の変わりも無いことを、互いに納得しあった。
彼女の目に光る涙が、「もう最後だね」と言っているように見えた。
- From:ま
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- Date:2006/05/02 00:01
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