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もしも・・・

「もしもあの時・・・」
違う選択をしていたら、今のアタシはどうなっていたんだろう。
アタシは今頃、どんな人生を歩んでいたのだろう。

「もしもあの時・・・」
貴方と出会っていなければ。
もしかして、他の誰かと「幸せ」な人生を送っていただろうか。
永遠にアタシだけを見つめてくれてアタシだけを愛してくれる、貴方のような人と。

貴方が不意にキスしたあの瞬間、アタシの思考は止まってしまった。
貴方を想うことはアタシだけの秘密。
少しだけ「片想い」に浸って、しばらくすれば今までのようにアタシは自分の気持ちを密やかに封印する。
その筈だった。

・・・そう、あの時までは。
なのに貴方はそんなアタシの気持ちには全然気づきもせずに、あの日、あの時、不意打ちのキスをした。

・・・世界で一番甘くて、一番残酷なキス。
あの時から、運命の歯車はものすごい勢いで音を立てて回り始めてしまった。
それと同時にアタシの頭は思考を止めた。
あまりの事態の急変にアタシの感情も思考も、理性ですら一瞬にしてその活動を停止した。
「貴方が好き!」あの時のアタシには、ただもうそれだけしかなかった。

・・・あれから7年経った今、それでもやっぱり「貴方が一番好き」。
アタシの心も体も貴方のためだけに存在してる。それは貴方も同じ事。
「アタシ」は「貴方」で、「貴方」は「アタシ」。
アタシ達は失われた「半身」を見つけてしまった。

・・・なのに貴方は「赤い糸」の相手を間違った。まるで「白鳥の湖」の王子のように。
ならばアタシは一生ただの「不倫相手」として生きねばならないの?
貴方が気付いた時には本当の赤い糸ではなく、紙切れと金属の輪と貴方自身の血が貴方を縛り付けていた。

・・・ねぇ、貴方はこれからどうしたいの?
・・・ねぇ、アタシは貴方が全てを捨てるだけの価値がある存在?

貴方の本当の気持ちが知りたいアタシは「我が侭」ですか?

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