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強い私と弱い私

「お前はいつも、元気がいいな」って、言われた。

いつもは、私を名前で呼んでいた彼が、
初めて「お前」って呼んでくれたことで、
少し彼との距離が近くなった気がした。

彼と会うときは、笑顔を絶やさないように・・・。
本当は弱い私は、無理をしている。

弱音吐いて、泣いて甘えたい気持ちがいっぱいなのに。
笑顔が好きだって、彼が言ってくれたから笑ってる。

二人きりの空間で、今度は少しだけの緊張感を持ちながらキスをした。

「すごくね、会いたかったよ」
「俺もだよ・・・」

会いたかったっていう言葉を聴きたかったけれど、ハグの強さで気持ちを感じた。
きっと、彼の中でルールを決めているのかもしれない。

「好き」「会いたかった」「愛してる」

私が言う言葉に「俺もだよ」で応える。
私が深みにはまるのを、腕を広げて止めてくれてるようにも思える。
きっと、彼が腕を広げてくれなかったら・・・。はまってたよね。

彼の笑顔を、ずっと見ていたいから、ちゃんと彼の腕に抱かれて私はストップしてる。
私よりも彼はずっと大人だから、すべてを見抜いてる。
そんな彼が私は好きで、愛してる。

私が彼にできること・・・。
彼を笑顔にして、現実に戻してあげること。

彼の疲れを吸い取ってあげたいから、彼に「少し眠ってていいよ」って促すと、
すやすやと眠ってくれる。
そんな彼にそっとそっとキスをする。

それが幸せな瞬間。
弱い私が、彼を好きになって愛してる。
それが強い私になれる、今の私には唯一の方法なのかもしれない。

二人だけの空間から、現実に戻るとき・・・。

「忘れ物はないかな?」
「カレン、あったあった。忘れ物・・・」

そして彼はやさしくキスをしてくれた。
彼への思いは深く深く・・・。
全てを壊してでも、一緒にいたい。
現実逃避している時の私は、素直にそう思う。
けれど・・・。彼は、家族を愛してる。
すごいすごい愛を感じる。

現実逃避している時の私は、現実に目覚めて主婦をしてる。
いつも甘えてたいし、そばにいてほしい・・・。
それが本当の私の気持ち。

強い私を装うのは、苦しい。
そんな私を彼が好きだって言ってくれる以上・・・。
苦しくても、そうでなきゃ・・・。
彼がいなくなっちゃう方が、もっともっと苦しいから。

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