車を買い替える、と言った。
これから借金を背負うことに、
ふたりの未来が無いことと、
家族との将来の決心を感じて、
私は、とても哀しくなってしまった。
その車は、奥さんと子供が乗る車。
私は決して、乗ることの出来ない車。
でも、車好きのあなたは、同じく車好きの私と、
楽しい話がしたかったんだ。
車に無関心な奥さんではなく、私と。
私は、助手席の自分を思い浮かべて、
こんなのもいい、あんなのもいい、とあなたと言い合った。
まるでふたりの車を選ぶかのように。
そしてあなたは、私の好みを尊重してくれた。
真新しい車を前に、家族と何処へ向かうのやら。
けれど、その車は私があなたと選んだ車。
それが救いになって、行ってらっしゃいと言える
少しの勇気をくれるんだ。
