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夢の一夜

高まる鼓動に身をまかせ、
何度も唇を重ねあったね。

確かめ合うように触れる指。
抱き合うたびに香る髪。
生まれてきたばかりの赤ん坊を触るように。

君は僕に触れ、
僕は君に触れ。

ぬくもりだけが生きている実感を与えてくれた。
愛し合う喜びを教えてくれた。

かすかに聞こえる鈴虫の音が、
深夜に響く車の排気音が、
君と僕の心臓の音が、
全て泡のようにはじけて消えたとき。

二人の存在が確かなことを月明かりが証明してくれた。

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